「エコフレンドリー」とは地球や環境に優しいという意味で、近年国際的にSDGs(持続可能な開発目標)が注目される中、ビジネスにおいてもエコフレンドリーな取り組みが重要視されています。飲食店の経営においても、様々な面で地球に優しい選択をすることで、店舗のイメージアップに繋げる事ができます。この記事では、飲食店の外観設計に焦点を当て、エコフレンドリーな取り組みの方法を紹介します。
◇リサイクル素材の活用
エコフレンドリーを意識した飲食店の外観設計において、外壁や看板などに再生素材(リサイクル素材)の活用することが選択肢の一つとして挙げられます。以下に、再生素材を活用するメリットと具体的な例を紹介します。
再生素材を使用するメリット
環境保護に繋がる
再生素材を使うことで廃棄されてしまうはずだった素材を資源として加工・消費することができます。これは焼却処分をする際に排出される温室効果ガスの削減に繋がり、環境への負荷を軽減します。また、限りある天然資源の枯渇を防ぐこともできます。
ゴミ削減への貢献
環境省のデータによると、日本では2040年ごろにゴミを埋め立てる最終処分場が満杯になってしまうそうです。日本は資源ごみを海外に輸出することで処理していましたが、各国も環境規制のためにごみの輸入を禁止する動きが進んでいます。ゴミの廃棄ができないと水質・地質汚染など様々な環境問題が発生します。私たちにもできる事として、本来捨てる予定であったものを再利用することは重要です。
具体的な例
リサイクルウッド
使用済みの木材を、外壁の一部やウッドデッキなどに取り入れて使用することができます。新たな木材の伐採を減らすことができるため、森林保護に繋がります。
再生プラスチック
リサイクルで作られたプラスチックボードを看板などに使うことが出来ます。廃棄物を削減し、資源の有効活用に貢献できます。
◇エコフレンドリーな外装ペイント
エコフレンドリーな飲食店を目指す上では、店舗の外装ペイントの選択も重要です。最近は様々な種類の塗料が販売されているので、目的に合った物を選びつつ、環境への影響も意識してみましょう。ここではエコフレンドリーな外装ペイントの特徴を紹介します。
VOC(揮発性有機化合物)を含まない
外壁の塗装に使用される塗料にはVOCを含むものが多くあります。VOCの中には大気汚染の原因になるものや、人体に健康被害をもたらす恐れがあるものがあり、東京都が工事事業者に向けて「VOC対策ガイド」を発行するなど、削減の必要性が訴えられています。塗料にはVOCを含まない物もあります。そういった塗料を選択すれば、空気中に有害物質を放出しないため、環境に優しく、施工する人々の健康も守ることが出来ます。
断熱効果が高い
外壁塗装に使える塗料の中には断熱・遮熱効果を持つものもあります。熱が室内に伝わりにくくすることで、冷暖房に必要なエネルギーを節約できます。使用する電力を減らすことは二酸化炭素の排出量の削減に繋がります。
耐久性が高い
外壁塗装は10年に1度程度の頻度で塗り直しが必要になるものが多いですが、耐久性に優れた塗料を使用することで、塗り直しの頻度を減らすことができます。コストの低減になるだけでなく、資源の節約にもなります。
◇太陽光発電や省エネ照明の導入
再生可能エネルギーの使用や、エネルギー効率を向上させることは地球に優しい取り組みの一つと言えます。飲食店の外観においては、太陽光発電や省エネ照明を導入する方法があります。以下にそれぞれのメリットを紹介します。
太陽光発電
飲食店を経営するためには多くの電力が必要となります。太陽光発電は、再生可能エネルギーの一つであり、必要な電力を補うための優れた方法です。初期費用は掛かりますが、一度屋根や外壁にソーラーパネルを設置してしまえば、長い間太陽光を電力へと変えることができます。これにより、ランニングコストの削減だけでなく、二酸化炭素排出量の削減にも繋がり地球環境保護へ貢献できます。また、余剰電力は蓄電池に溜めたり、売却したりできるので無駄になりません。
省エネ照明
LED(発光ダイオード)照明
飲食店は夜間も営業している場合も多く、店舗外観の照明は集客のため重要な設備となります。LED照明は、白熱電球などの従来の照明に比べて明るい上に消費電力が少ない、エネルギー効率に優れた存在です。また、寿命も長いため交換頻度を減らすことができ、資源消費の削減になります。
センサー付き照明
センサー付き照明は、人の動きを感知して自動的に点灯します。人がいない間は自然と消灯することができ、消し忘れの心配もありません。無駄なエネルギー消費を減らすことができるので消費電力を抑えられます。
◇自然素材の使用と緑化計画
環境に配慮した飲食店の外観設計において、自然素材の使用と外構の緑化は環境に優しいだけでなく、ナチュラルなイメージを生み出すことができ、見た目上もメリットがあります。
自然素材を使用するメリット
自然素材は加工に使うエネルギーが少ないため、環境に優しいです。例えば、石材や木材、竹などの自然素材を外壁や装飾に取り入れてみましょう。石などの自然素材は耐久性もあるため、長期間の維持が可能です。石を使えば、落ち着いた雰囲気や洗練された印象を与えることができます。木材を使用するとおしゃれで視覚的にも温かく、顧客に親しみを感じてもらえるでしょう。
緑化計画の重要性
外構に植える木や花といった植物も、エコフレンドリーな外観において大事な存在です。華やかになるだけでなく、自然を大切にしているという店舗の意識を顧客にアピールする手段の一つです。植物の緑は目に優しく、リラックス効果もあるため、顧客には穏やかな時間を過ごしてもらえるでしょう。ただし、伸びた植物や枯れ葉が周辺店舗や道路に広がり迷惑をかけてしまってはかえって悪印象を与えてしまうので、定期的な手入れが必要です。
◇顧客への環境意識の伝達
ただリサイクル素材を取り入れたりLED照明を取り入れたりするだけでは、エコフレンドリーな取り組みを行っていることが顧客に伝わらない可能性があります。取り組み内容をPRすることでエコを意識する客層に好印象を与え、集客にも繋がります。また、顧客や通りがかった人への啓発効果も得られます。以下に環境への取り組みのアピール方法を紹介します。
看板にメッセージを組み込む
店舗看板は通りがかった人の目に入りやすく、環境への意識をアピールする媒体として適しています。看板の一部に、あなたの環境への想いや取り組みについて紹介する文章を載せることで、顧客にメッセージとして伝えることができます。
ポスターなどでの情報掲示
店舗外に環境問題に関する情報や、エコフレンドリーな取り組みを紹介する啓発ポスターを掲示してみましょう。定期的に内容を更新することで、環境を守るために継続して努力を続けていることを伝えられます。
ウェブサイトやSNSの活用
エコフレンドリーな取り組みを行った場合、ウェブサイトやSNS上で紹介しましょう。外壁素材など外見だけでは分かりにくい取り組みも詳しく伝えることができます。自身が行った取り組みだけでなく、環境保護や省エネに関する情報を投稿するのも良いでしょう。ネット上で拡散されれば、店舗の宣伝にも繋がるかもしれません。
◇まとめ
年々、森林伐採などの環境破壊や地球温暖化は進行し、環境保護に対する意識を持つことが大切になってきています。それは日常生活の中だけでなく、ビジネスにおいても同様に意識する必要があります。飲食店を経営するためには食材だけでなく、建物や設備などに様々な資源や物資が必要となり、電気やガスといったエネルギーも消費します。何か一つでも、できることから環境に優しい取り組みを始めて、未来の子供たちが住みよい環境の維持に繋げていきましょう。