介護施設においても商業施設と同じように必ずと言っていいほど看板を設置するものです。高齢化社会で介護施設の需要は日々高まっていますが、利用者側も入所できればどこの施設でも良いというわけではなく、集客には適切な広報戦略が必要です。この記事では介護施設の集客に繋がる看板デザインのコツについて解説します。
◇介護施設の看板に載せるべき情報とは?
介護施設が看板を設置する際は、地域に信頼され、利用者を呼び込む媒体に仕上げることが重要です。そのためには、掲載する情報をしっかりと吟味する必要があります。安心感を与え、信頼性を高める情報要素についてご紹介します。
必須情報の明確化
看板に欠かせない要素には施設の基本情報が含まれます。利用者に「迷わせない・なるべく調べさせない」を意識した親切な内容に仕上げましょう。
・施設名と事業形態
「〇〇デイサービス」「特別養護老人ホーム〇〇」のように、施設の種類は名称と共に明確に記載しましょう。高齢者や家族は「デイサービス」と「グループホーム」の違いが分からない場合も多く、事業形態を明記しておくと混乱を防ぐことができます。
・連絡先
電話番号はもちろん、公式サイトのURLやQRコードを掲載するもの良いでしょう。スマホで簡単に詳細を確認できるようにすると、問い合わせ率が向上します。
・所在地と交通アクセス
「そもそも施設がどこにあるか分からない」という声は少なくありません。「最寄り駅から徒歩3分」「〇〇バス停目の前」など、具体的なアクセス方法を記載しましょう。地図を添える場合は、近隣の目印(学校や郵便局)を入れると親切です。
・開業時間・休業日
「平日8:30~18:00」「日曜・祝日休み」など、シンプルに表示しましょう。デイサービスでは「送迎時間」などを加えると利用者の計画が立てやすくなります。
サービスの特徴を伝える要素
基本情報に加え、他施設との差別化を図ることのできるポイントを押さえましょう。
サービスの対象者
「要介護3以上対応」「認知症専門ケア」など、施設で受け入れ可能な要介護度や特性を明記します。家族は「自分たちの親に合うか」を判断するため、具体的な条件が役立ちます。
職員の専門性や施設の体制
「介護福祉士〇名が在籍」「看護師24時間常駐」など、スタッフの資格や体制をアピールしましょう。専門家が十分に配置されていれば、家族も安心です。
施設としての個性や強み
「庭付きの個室」「緑に囲まれた静かな環境」といった自然環境、「防災設備完備」「全室バリアフリー」などの設備、「音楽療法」「園芸活動」のようなプログラムのように、利用者や家族がメリットを感じる個性や強みを強調しましょう。写真やイラストを交えて表現するのも効果的です。
利用者家族への心理的安心感の提供
家族が施設を探す際、看板の情報から「ここなら安心できそう」と感じてもらうことが大切です。例えば「看護師常駐」や「24時間対応」といった文言は、緊急時にも頼れる施設であることをアピールします。
デザインで配慮すべきポイント
情報を載せるだけでなく、誰にでも魅力が伝わるデザインを心がけましょう。トラブルを避けるための情報など、心配を解消する配慮があれば安心できます。
地域住民への信頼感を醸成するメッセージ
「どんな施設なのか」「騒音やトラブルは存在しないか」と不安を抱く地域住民もいます。看板に事業内容や理念、地域貢献を意識したメッセージを加え、理解を得るために努めましょう。
視認性の確保
車から見られることを想定する場合は最低でも文字を15cm以上にしましょう。色のコントラストを強めたり、シンプルな書体を使用したりして、誰でも見やすい看板を目指しましょう。
バリアフリー情報の表示
「車椅子でもスムーズに入館可」「駐車場〇台分確保」など、利用しやすさをアピールし、安心してもらいましょう。
◇安心感を与えるデザインレイアウトの作り方
先ほども少し触れたように、介護施設の看板は「安心感を与える」ことが大切です。利用者や家族に安心を感じてもらうためにはデザインを工夫する必要があります。ここではフォントや配色、配置など、考慮すべきポイントを挙げます。
安心感を醸成する色選びの基本
色は心理的な印象を左右する最も重要な要素です。下記に介護施設にふさわしい配色のポイントを解説します。
暖色系で柔らかさを表現
ベースカラーには、薄いベージュや淡い黄色など「温もり」を感じる色を選びましょう。例えば、背景をクリーム色、文字を濃い茶色にすると落ち着いた印象に仕上がります。赤や黒は「警告色」として安心感とは対極の印象を与えてしますので、避けるのが無難です。
アクセントカラーで明るさをプラス
施設のロゴやサービス名には、アクセントとして水色や緑を追加しましょう。清潔感や自然の安心感を演出できる明るい色合いが良いです。例えば、背景はベージュ、ロゴに緑色の葉のイラストを組み合わせるなどです。
信頼感を高める「フォント」と「文字サイズ」
文字のデザインは専門性と親しみやすさのバランスを取るのが鍵です。
フォント選びの3原則
1.読みやすさ優先:ゴシック体や丸ゴシック体が最適です。明朝体は小さな文字で読みづらいので、基本的には避けましょう。
- 優しい印象:UDデジタル教科書体など、角が丸まったフォントで柔らかさを表現するのも効果的です。
3.統一感:タイトルと本文でフォントを変えすぎないようにするなど、統一感が失われないように気を付けましょう。
文字サイズの目安
車から見ることを想定する場合は、主要情報は最低でも一辺20cm以上の大きさにしましょう。徒歩の場合は、10m先から読めるサイズ(施設名なら30cm×40cm程度)が良いです。介護施設の場合は、高齢者は視力が低下しがちなため、通常より大きめに設定しましょう。
情報の優先順位で決める「レイアウト」
「どこに何を載せるか」を工夫することで、見る人のストレスを軽減し、安心感に繋がります。
視線の流れを意識した配置
上部の最も目立つ場所に施設名と事業形態、中央には特徴的なサービス(「24時間看護」など)、下部には連絡先とアクセス(地図やQRコード)を配置すれば、スムーズに情報を読み取ることができます。
余白を活用し、スッキリ感を演出
文字や画像を詰め込みすぎると「雑然とした施設」と誤解されかねません。看板の30%は余白にしたり、区切り線やアイコンで情報をグループ化したりして、スッキリしたデザインを目指しましょう。
特別な配慮が必要な「アクセシビリティ」
商業施設の看板と違うのは、高齢者や障害者にも優しい看板をより意識すべきだということです。
車いすユーザーらへの配慮
看板の高さは地面から120cm以内にすると、座った高さからでも情報を読み取りやすいです。ピクトグラムを活用し、トイレや駐車場のマークを追加すると、より多くの人々への周知に役立ちます。
認知症の方への優しさ
施設内では、時計やカレンダーを併設し、「今がいつか分かる」安心感を与えましょう。抽象的なイラストより「実際の施設の写真」を掲載する方が安心材料となる場合もあります。
◇ターゲット層に合わせた看板メッセージの考え方
看板を設置する際に、「誰に見てもらうための看板か」を意識することは非常に重要です。看板の効果を高めるためには、特定の閲覧者に向けた情報発信を行う必要があります。ここでは、ターゲット層に合わせた看板メッセージの作成方法を解説します。
介護施設の看板が想定する「3つのターゲット層」
介護施設の看板のメッセージは、主に以下の層に届ける必要があります。メッセージを作成する際は、それぞれの立場や不安を理解することが重要です。
【ターゲット1】利用者本人(高齢者)
→ 不安:「施設生活は怖くないか」「施設内で自分らしく過ごせるか」
【ターゲット2】家族(子どもや配偶者)
→ 不安:「スタッフに専門性はあるか」「緊急時は対応してくれるか」
【ターゲット3】地域住民
→ 不安:「施設の存在によって地域に悪影響を及ぼさないか」
これらを意識すると同じ「24時間対応」でも、
・高齢者向け:「いつでも安心して過ごせる居場所」
・家族向け:「看護師24時間常駐でいざという時も迅速対応」
と表現を変えることで、ターゲットに合わせた安心感を伝えられます。
高齢者本人に響くメッセージ設計
メインのターゲットとなる施設を直接利用する高齢者の心理的特徴に合わせた言葉選びのコツです。
具体的な生活イメージを伝える
「充実した毎日を」のようなふんわりとした表現よりも、「趣味の盆栽も続けられる庭付き個室」のような具体的な生活イメージを盛り込むことで、自分らしさを維持できることが伝わります。
否定語を避けポジティブ表現を
「孤独を感じません」のような否定語よりも、「仲間と笑い合える交流サロン」のようなポジティブな言葉を選びましょう。高齢者は「孤独」「介護」といった言葉に敏感で、不安を感じやすいです。
文字デザインの工夫
文字デザインはひらがなを多めにすると優しい印象が強まります。フォントサイズは、通常より20%大きくしましょう。
家族の不安を解消するメッセージ戦略
利用者の家族は「スタッフの専門性」「設備の安全性」「コスト」の3つを特に気にします。具体的な数字や根拠を添えて信頼性を高めましょう。
専門性のアピール
「介護福祉士10名以上・看護師3名常駐」といったスタッフの体制や「認知症ケア専門士在籍」のような資格情報で専門性を発信しましょう。
安全性の可視化
「防災設備完備・全館バリアフリー設計」といった設備の安全性や「かかりつけ病院と連携し、5分以内に駆けつけます」というように利用者の安全性を担保する情報を加えましょう。
費用面の透明性
「格安プランあり」ではなく、「初期費用0円・公的介護保険適用」のように具体的に表記しましょう。曖昧な表現は不信感を招きます。
地域住民への配慮を伝える表現
施設の周辺に暮らす住民らに向けて地域共生を目指す姿勢を示し、近隣トラブルを未然に防ぎます。
静穏性など配慮のアピール
「防音設計で静かな環境を維持します」「夜間は外部照明を控えめにしております」のように地域への配慮を伝えましょう。
地域貢献のメッセージ
「地域の皆様との共同イベントを開催中」「災害時は一時避難所として開放します」のように地域貢献や共生をアピールするのも効果的です。
問い合わせ窓口の明示
万が一に備え「ご意見・ご要望はこちらへ:0120-XXX-XXX」と問い合わせ先を記載しておくことで地域住民の声を受け止める姿勢を見せます。
◇まとめ
介護施設の看板は、商業施設と異なる独自の工夫が求められます。ベースとして「優しさ」を意識したデザインに仕上げつつ、看板の設置場所などによりターゲット層を意識した内容にアレンジします。高齢者には「生活の楽しさ」、家族には「専門性と安全性」、地域住民には「共生への姿勢」を伝えると良いでしょう。この記事を参考にして、集客力の高まる看板を目指して下さい。