開業を目指すにあたり、「お店のデザインはこうしたい!」という理想を持っている方も多いでしょう。夢の店舗を実現するためにイメージを持つのは大切ですが、外観と内装のデザインを別々に考えてしまうと失敗のもとになります。コンセプトを統一し、一体感を演出することで、店舗の魅力は大きく向上します。この記事では、外観と内装をデザインする際のポイントをご紹介します。
◇配色とテーマの統一
店舗の外観と内装は、顧客に与える第一印象を決定づける重要な要素の一つです。特に色使いやデザインのテーマを統一することは、ブランドイメージを強化し、顧客に対して印象付けるために欠かせません。この記事では、魅力的で一貫性のある店舗デザインを実現するためのポイントについて解説します。
デザインの統一感の重要性
外観や内装に反映するイメージカラーを固め、テーマをしっかりと設定することは、ビジネスの成功に関係します。下記に理由と設定する際のポイントをまとめました。
ブランドイメージの強化
統一された配色とデザインコンセプトは、店舗のブランドイメージを強化します。顧客は一貫した色使いを見ることで、その店舗やブランドをすぐに認識しやすくなります。例えば、特定の色がブランドカラーとして定着している場合、その色を見るだけでブランドを連想することができます。例えば「ニトリ」と言えば「緑色」とすぐに連想できるでしょう。
プロフェッショナルな印象
統一されたコンセプトは、店舗全体にプロフェッショナルな印象を与えます。色がバラバラだと、雑然とした印象を与えてしまいますが、統一感があると洗練された雰囲気を作り出すことができます。おしゃれさやカッコよさなど、店舗のコンセプトを事前に考えておきましょう。
顧客の心理的効果
色には心理的な効果があります。統一された色使いによって、顧客の感情や行動に与える影響を強化することができます。例えば、暖色系の色は温かみや親しみやすさを、冷色系の色は落ち着きや清潔感といった印象を与えます。
デザインの調和
色使いの統一は、他のデザイン要素との調和を図るためにも重要です。配色やコンセプトが固まっていれば、家具や装飾品の色やデザイン選びにも反映でき、店舗として全体的にバランスの取れたデザインになります。
配色のポイント
統一感を演出する上で外観や内装の配色イメージに悩んだら、定番の配色パターンを参考にしてみると、想像よりも良いデザインも出会えるかもしれません。代表的な配色パターンの例とそれぞれの効果をいくつか挙げてみました。
ドミナントカラー配色
同一した色相のカラーを使用した配色で、まとまった印象を演出できます。例えば濃い紫、紫、薄い紫を組み合わせた配色です。色が持つ効果が強まり、店舗のコンセプトを顧客に伝えやすくなります。
ダイアード配色
色相を環状に配置した色相環の正反対に位置する色(補色)同士の組み合わせです。それぞれの色を強調する効果があります。例えば緑とマゼンタ、黄色と紫などがあります。明度が高いと色の境目に不快なぎらつきを生じることがありますが、無彩色や金属色を間に挟む「セパレーション」を行うことで避けることが出来ます。
ドミナントトーン配色
近いトーンで統一する配色です。例えば、薄いピンク、薄い水色、薄い黄色の組み合わせなどです。トーンを統一することで多数の色でも調和させることができます。
◇外観素材を内装に反映するアイデア
先に述べたように飲食店のデザインは、外観と内装の統一感が重要です。外観で使用した素材やデザイン要素を内装にも取り入れることで、店舗全体の雰囲気を一貫させ、顧客に強く印象を残すことができます。以下に、外観素材を内装に反映するための具体的なアイデアを紹介します。
自然素材の活用
外観に木材や石材を使用している場合は、内装にも同じ素材を取り入れることにより、ナチュラルで温かみのある空間を演出できます。例えば、外壁に使用した木材を内装の壁や家具に使用したり、石材をカウンターや床材に取り入れたりすることが考えられます。素材次第で温かさや高級感を演出することも可能です。
カラーの反映
外観のカラーリングや配色パターンを内装にも反映させることで、店舗全体のデザインに一貫性を持たせることができます。例えば、外観が白と青を基調としている場合、内装にも同じ色をアクセントとして取り入れることで、爽やかで統一感のある空間を作り出せます。全面同じカラーにしてしまうと、外と中でメリハリがつかなくなる場合もあるので、一面だけアクセントクロスを取り入れるなどの方法があります。
照明デザインの統一
外観の照明を内装にも取り入れることで、昼夜問わず一貫した雰囲気を演出できます。例えば、外観に使用したランタン風の明かりを内装のテーブルやカウンター周りにも配置することで、温かみのある雰囲気を作り出せます。
ガラス素材の活用
外装にガラスを多用している場合、内装にもガラス素材を上手く取り入れることで、開放感のある空間を作り出せます。ガラスのテーブルや装飾を使用すれば、視覚的な広がりを持たせることができます。
植物の配置
外観に植物を取り入れている場合、内装にも観葉植物を配置することで、自然の癒し効果を増やすことができます。和風と洋風でもイメージが異なるので、植物のジャンルは可能な限り統一するようにしましょう。植物は空間に柔らかさを加え、リラックスできる雰囲気を提供します。
◇一体感の演出による成功御事例
ここまで外観と内装の一貫性の重要性を説明してきました。実際に、世の中では統一感を演出することによりビジネスを成功させている店舗がいくつも存在します。優れたアイデアを参考にし、マネできる部分は自身の店舗にも取り入れてみると良いでしょう。下記にいくつか事例を紹介します。
スターバックス
スターバックスは、周囲の環境に合わせ店舗ごとに異なるデザインを採用しつつも、全体として統一感のあるテーマを持っています。例えば、外観と内装共に木材や緑を基調としたナチュラルなデザインが多く、リラックスできる雰囲気を演出しています。これにより、どの店舗に行ってもスターバックスらしさを感じることができます。
無印良品
無印良品の店舗は、シンプルで無駄のないデザインが特徴です。白やベージュ、グレーなどの落ち着いた色使いで統一されており、商品が際立つように工夫されています。商品も同様にシンプルな設計がなされ、ブランディングが徹底されています。この統一感が、無印良品のブランドイメージを強化しています。
IKEA
IKEAの店舗は、青と黄色のブランドカラーを基調としたデザインが特徴です。外観を見ただけではっきりと印象が植えつけられます。店舗内のディスプレイや販促物も統一されたテーマに基づいてデザインしつつ、顧客が迷わずに商品を見つけやすいように工夫されています。また、各部屋の展示スペースも一貫したコンセプトが反映されていて、顧客に「こんな暮らしがしたい」という憧れを与えます。
Apple Store
Apple Storeは、外観や内装にガラスと金属を多く使用したモダンで洗練されたデザインが特徴です。白とシルバーを基調とした色使いが統一されており、製品の美しさを引き立てています。店舗全体が一貫したテーマでデザインされているため、どの店舗に行ってもAppleの世界観を感じることができます。
◇まとめ
顧客が「また行きたい」「信頼できそうだ」と思う店舗はブランディングが成功している店舗です。そしてブランドイメージを強化するためには、店舗のコンセプト・世界観を統一する必要があります。外観や内装のデザインを考える際は、個別に考えるのではなく、統一感を演出できるような工夫をしましょう。記事の内容を参考にしつつ、魅力的な店舗を作り上げて下さい。