看板はほとんどの店舗や事業所に設置され、「ビジネスの顔」とも言われる重要なものです。あなたのビジネスを大きく助けてくれますが、コストや作成の手間がかかり、簡単には移動させられない看板が多いので、設置する際は場所を慎重に検討する必要があります。集客効果が高まる場所を見極め、規制を守りながら適切に設置しましょう。この記事では看板設置のポイントと注意点をご紹介します。
◇設置場所の選び方
看板は適切な設置場所を選ぶことで、効果を最大限に引き出すことができます。ここでは、設置場所の選び方について解説します。
1.目的を明確にする
大前提として、看板を設置する目的を明確にしましょう。新規顧客の獲得、ブランド認知度の向上、特定の商品やサービスの宣伝、込めたいメッセージなど、目的によって設置場所やデザインが変わります。
2.ターゲット層を考える
看板を見る人々やあなたのビジネスのターゲット層を考慮することが重要です。例えば、若者向けのカフェであれば、専門学校や大学の近くに設置するのが効果的です。ターゲット層がよく通る場所を選ぶことは成功に繋がります。
3.視認性を確保する
看板は、見てもらえなければ意味がありません。遠くからでも見やすい場所に設置することが大切です。視認性を高めるために、以下のポイントに注意しましょう。
高さ: 歩行者や車両から見やすい高さに設置します。
照明: 夜間は看板を目立たせるチャンスです。照明の設置も検討しましょう。
障害物: 可能な限り樹木や建物などの障害物がない場所を選びます。
4.法律や規制を確認する
後程詳しく解説しますが、看板の設置には、法律や規制が関わることがあります。特に屋外広告物法や地方自治体の条例には注意が必要です。トラブルを避けるため、設置前に必ず規制を確認し、必要な許可を取得しましょう。
5.周囲の環境に合わせる
一般的に看板は周囲の環境に調和するように設置することが求められます。例えば、歴史的な街並みや自然環境の中では、景観を損なわないデザインや素材を選ぶことが重要です。周囲と調和することでお店のイメージを損なわずに済みますし、地域住民らとの軋轢も回避できます。
6.耐久性を考慮する
看板は長期間使用するものなので、基本的には耐久性のある素材を選びましょう。風雨にさらされる場所では、防水性や耐久性のある素材が適しています。安価だからと傷みやすい素材を使用すると、ビジネスのイメージダウンに繋がりかねません。
7.プロに相談する
看板の設置には専門的な知識が必要です。デザインから設置までを一貫してサポートしてくれるプロの業者に相談することで成功に近づきます。
◇法律と規制について
看板の設置には様々な法律や規制が関わっており、これらを遵守することが店舗の信用や地域の安全、景観を守るために大切です。新しく看板を制作する際は、必ず事前に必要な申請や許可を確認した上で、忘れずに手続きを行いましょう。この記事では、看板設置に関わる主要な法律とそのポイントについてご紹介します。
建築基準法
看板は建物の設備とみなされるので、建築基準法の対象になります。主に下記の2つが関わってくるので確認しておきましょう。
工作物確認申請
看板の高さが4メートル以上の場合、工作物確認申請が必要です。ポールや支柱を含めた高さで測るので、計画段階で全長を把握しておきましょう。申請が受理されると「確認済証」が発行され、工事を開始できます。完成後には「完了検査」を受ける必要もあります。
防火地域内の規制
防火地域内では、建物の屋上に設置したり高さが3メートル以上あったりする看板の主要部材を不燃材料で作るか、覆う必要があります。
道路法
道路占用許可申請
突き出し看板などの一部が歩道や道路にはみ出す場合、「道路占用許可申請」が必要です。支柱自体は自分の敷地内にあっても、看板の一部が公道の空中にはみ出している場合は申請の対象になるので注意しましょう。
屋外広告物法
屋外広告物許可申請
屋外広告物法は、景観の維持や公衆の安全を目的として地方自治体が定める法律です。看板の総面積が地域の定める数値を超える場合や、デザインが目立つものは許可が必要です。
地域ごとの規制
各自治体には独自の条例があり、看板設置に関する規制が異なります。例えば、重要文化財周辺や公園内では広告物の設置が禁止されている場合があります。設置する際は自治体への確認も忘れないようにしましょう。
◇安全な設置方法
看板は、設置方法を誤ると事故の原因となり、信頼を失うことにもつながります。コスト削減は重要ですが、安全性を軽視しては意味がありません。ここでは、安全性の高い看板の設置方法について解説します。
1.設置場所の選定
看板の設置場所は、通行人や車両の安全を考慮して選定する必要があります。視認性が高く、かつ安全性が担保できる場所を選びましょう。道路の上空に看板がはみ出すような場合は、道路占用許可が必要になることもあります。
2.設置方法
適切な素材選び
看板の素材は、耐久性を考慮して選びます。特に屋外に設置する場合は、風雨に強い素材を選ぶと良いでしょう。防錆処理が施された金属や耐候性の高いプラスチックなどがあります。
強度の確保
看板の設置には、強度を確保するための適切な施工が必要です。建物の壁から突き出す袖看板などは、落下や風圧を受けるリスクが高いので、専門業者に依頼して強度計算を行うことが重要です。
固定方法の確認
看板を固定する際には、使用する金具やボルトの強度を確認します。定期的に点検し、緩みや腐食がないかチェックしましょう。例えばポール看板では、基礎が根腐れして倒壊する危険があります。
3.定期的な点検とメンテナンス
日常点検
看板の安全を維持するためには、日常的な点検が欠かせません。目視でのチェックのほか、実際に触れたり揺らしたりして安定性の確認を行いましょう。
専門業者による定期点検
年に一度は専門業者による定期点検を受けることをおすすめします。特に高所に設置された看板や、大型の看板は自力での点検は困難です。高所作業車や専門的な知識と技術が必要です。
4.事故防止のための対策
見える化としくみ化
看板の安全管理は『見える化』と『しくみ化』をすることで、事故のリスクを低減できます。点検スケージュールを定め、毎回の記録を残すことで、いつどのような点検が行われたかを把握できます。
緊急時の対応
万が一、看板に異常が発生した場合には、速やかに対応できるように準備しておきましょう。マニュアルを作成し、連絡先や対応手順を明確にしておくことが重要です。
◇設置後のメンテナンス方法
看板は店舗や企業のシンボルであり、メンテナンスはその印象と機能を維持するために非常に大切な作業です。事故や汚損でブランドイメージを損なわないよう、適切に管理をしましょう。ここでは、看板設置後のメンテナンス方法についてご紹介します。
1.定期的な清掃
看板は屋外に設置されるものも多く、雨風や埃、汚れにさらされます。定期的に清掃することで、看板の美しさを保ち、劣化を予防できます。特に、電飾看板やLED看板は、汚れが光の透過を妨げるため、こまめな清掃が必要です。
2.点検と修理
看板の点検は、少なくとも半年に一度行うことをおすすめします。点検内容は看板の種類によりますが、主に以下の項目を確認します。
・看板の表面に傷や剥がれがないか。
・支柱や取り付け部分に錆や腐食がないか。
・電飾看板の場合、電球やLEDが正常に点灯しているか。
問題が見つかった場合は、早急に修理を行いましょう。危険がある場合は立ち入り禁止の処置も行う必要があります。
3.定期的な再塗装
看板は経年劣化で色あせや剥がれが起こるので、定期的な再塗装が必要です。特に、直射日光にさらされる場所に設置されている看板は、紫外線による色あせが早く進行します。再塗装により、看板の鮮やかさや視認性を保つことができます。
4.専門業者への依頼
看板のメンテナンスは、部分的には自分で行うこともできますが、専門業者に依頼することで、より確実なメンテナンスが可能です。専門業者は、看板の種類や設置環境に応じた最適な方法を提案してくれます。また、定期的なメンテナンス契約を結ぶ手段もあります。
◇まとめ
看板の効果は設置場所に大きく左右されます。看板の持つポテンシャルを最大限引き出せるようにしっかりと検討しましょう。また、看板の美観や安全性を保つことは、企業や店舗の信頼を守るために非常に重要です。定期的な点検とメンテナンスを行うことで、効果を長く継続させることができます。皆さんの看板も、安全で魅力的なものにしていきましょう。