飲食店を経営してみたいという人の中には、「提供したいメニューは決まっているけれど、外観をどうしたら良いのか分からない」という人もいるでしょう。店舗の外観は、料理の味と同じくらい、成功を左右する重要な要素です。この記事では、外観デザインを決める際のポイントや役立つ知識をご紹介します。
◇ブランドコンセプトと外観デザインの一致
外観デザインはお店の「顔」として、顧客に強い印象を与えます。特に、外観デザインとブランドコンセプトの一致は集客に大きく影響する要素です。ここでは、集客に効果的な飲食店の外観デザインのポイントを紹介します。
一貫性のあるデザイン
外観デザインはブランドコンセプトと一貫性を持たせることが最も大切です。店舗の内装やメニュー、スタッフの制服などとコンセプトを統一しましょう。例えば、カフェならばナチュラルな木材を使った外観と、同じ素材を使った内装を組み合わせることで、おしゃれに統一感を出すことができます。
ブランドのストーリーを伝える
外観デザインに、店舗のブランドストーリーを反映させるのも一つの手です。例えば、地元の食材を使った料理を提供するレストランなら、その地域の風景や文化を取り入れたデザインにすることで、「地元を大切にしたい」というブランドとしての価値観を伝えることができます。
デザインの際の注意点
顧客の使いやすさを考慮
外観デザインは、お客様の体験を考慮したものであるべきです。おしゃれさやブランドコンセプトにこだわるあまり、お客様から「入りにくいな」と思われないように気を付けて下さい。ベビーカーや車椅子でも入りやすい設計にするなど、幅広いお客様に対応できるユニバーサルデザインを心掛けましょう。
SNS映えを意識
現代では、SNSでのシェアが集客に大きな影響を与えます。ブラインドコンセプトを活かし、外観デザインにフォトジェニックな要素を取り入れることで、お客様が写真を撮りたくなるような工夫をすることが重要です。中華風や欧米風などそれぞれの世界観にマッチした壁画やユニークなオブジェを設置することで、自然とお店の宣伝になります。
◇外壁の素材と色彩の選び方
飲食店の外壁選びは、お店の第一印象を左右するため重要です。ブランドコンセプトを考慮し、適切な素材と色彩を選ぶことで、店舗の魅力を最大限に引き出すことができます。飲食店の外壁の素材と色彩の選び方について解説します。
外壁素材の選び方
素材の決め方と種類
外壁素材の選びにおいては、価格、デザイン、メンテナンス性が指針になります。そのため、各素材の特徴を知っておくことが重要です。例えば、窯業系サイディングは安価で、タイルやモルタルは高価な素材です。価格を考慮しながら、ブランドに適したデザインの素材を候補として挙げ、あなたがどれくらいの頻度でメンテナンスを行うことができるかを踏まえて決定しましょう。下記に素材の種類と特徴をまとめました。
1.サイディング
・窯業系サイディング: セメントと繊維を混ぜて成形した素材で、軽量で施工が簡単です。コストパフォーマンスに優れています。
・金属系サイディング: アルミやガルバリウム鋼板などの金属で作られた素材です。耐久性や防水性に優れ、長期間美しい外観を保てます。
・木質系サイディング: 木材で作られた素材で、温かみや落ち着きのある雰囲気を演出できます。断熱性や調湿性に優れ、省エネ効果も期待できます。
2.左官
・モルタル: セメントと砂を混ぜて作られた素材で、耐久性や防水性に優れています。自由なデザインが可能で、個性的な外観に仕上げられます。
・漆喰: 消石灰や麻を混ぜて作られた素材です。調湿性や消臭性が特徴で、室内の空気を快適に保てます。また、防火性にも優れています。
3.タイル
・磁器質タイル: 陶器で作られたタイルで、硬度が高く耐久性に優れています。高級感や重厚感があります。
・せっ器質タイル:磁器質タイルよりも柔らかく、施工がしやすくデザインの自由度が高いのが特徴です。
4.ALCボード
セメントと軽量骨材を混ぜて作られた素材で、軽量で施工が簡単です。耐火性や断熱性が高く、安全性と省エネ性に優れています。
外壁色彩の選び方
外壁の色彩は、店舗の雰囲気に大きく影響します。以下に、色彩選びのポイントを紹介します。
コンセプトに合わせたカラー
お店のブランドコンセプトに合ったカラーを選びましょう。おしゃれでリラックスできる雰囲気を目指すなら、ベージュやグリーンなどアースカラーを基調にすると良いです。モダンで洗練された雰囲気にしたい場合は、モノトーンやメタリックカラーが適しています。
食欲を刺激する色選び
ブランドコンセプトと相反さない場合は、食欲を刺激する色を取り入れる方法もあります。例えば、赤やオレンジは食欲を増進させる効果があります。
周囲の環境と調和させる
店舗の外壁色は、周囲の建物や景観と調和するように選びましょう。あまりにも浮いてしまうとイメージが悪くなる可能性もあります。周囲と調和することで、地域住民からも店舗の印象が良くなります。
メンテナンス性を考慮する
外壁の色は、汚れや色褪せが目立ちにくいものを選択すれば、メンテナンスの手間を減らすことができます。ベージュやグレーなどの中間色は、汚れが目立ちにくくおすすめです。
◇ロゴやサインの設計と配置戦略
飲食店の外観は外壁だけでなく、サインやロゴのデザインと配置によっても印象が変化します。色やフォント、配置場所を工夫することで、ブランドコンセプトを強化し、集客力を高めることができます。飲食店のサインやロゴの設計と配置戦略について詳しく解説します。
ロゴやサインの重要性
ロゴの役割
ロゴは、店舗のシンボルとも言える存在です。コンビニエンスストアやチェーン店の名前を聞くと、ロゴが思い浮かぶのではないでしょうか。記憶にも残りやすく、お店のコンセプトや雰囲気を一目で伝えることができるため、デザインにはこだわりましょう。
サインの役割
サインは、店頭のバナースタンドや窓に貼るステッカーのように、店舗で使用される訴求アイテム印刷物のことです。その中でも一番重要になってくるのは店舗の正面に掲げられる大型の看板「ファサードサイン」です。店舗の存在を知らせるだけでなく、ブランドコンセプトや商品のイメージを伝える役割も果たします。
ロゴの設計ポイント
シンプルさと独自性
ロゴはシンプルでありながら、他店と差別化できる独自性が求められます。覚えるのが難しい過度に複雑なデザインは避け、洗練されたデザインを目指しましょう。かわいらしさやカッコよさなど、ブランドコンセプトがダイレクトに伝わると効果は高まります。
使用する色
ロゴの色も重要です。店舗の外観や内装、サインと統一感を持たせることで、ブランドコンセプトを強化できます。
サインの設計ポイント
色の選び方
色は心理的効果を持ちます。例えば、赤やオレンジなどの暖色系は食欲を刺激し、青や緑などの寒色系は落ち着いた雰囲気を演出します。色彩心理学を取り入れ、店舗ごとのコンセプトに合わせたカラーで設計しましょう。特にファザードサインは外観のイメージへの影響が大きいので、外壁の色との相性も考えつつ配色を決定しましょう。
フォントの選び方
フォントも重要な要素です。読みやすさを重視しつつ、店舗の雰囲気に合ったフォントを選びましょう。太めのフォントは目立ちやすく、細めのフォントは上品な印象を与えます。日本語にするのか英語にするのか、言語選択によっても印象は変わります。
配置戦略
ロゴの配置
ロゴは、店舗の外観デザインを構成する大切な要素です。メニューや看板、スタッフのユニフォームなど、様々な場所にプリントすることでブランドの一貫性を強化できます。特に入口付近や看板に大きく配置することで、初めて訪れる顧客にも強い印象を与えることができます。
サインの配置
サインは、様々な種類がありますが、いずれも視認性の高い場所に配置することで効果を発揮します。スタンド看板やのぼりなどは入口付近や通行人の目線に合わせた高さに設置することで、効果的にアピールできます。
◇まとめ
店舗の外観を考える際に考慮すべきポイントをまとめました。まずは店舗としてのブランドコンセプトをはっきりと定め、それに沿って外壁のカラーや素材、ロゴなどを決めていきましょう。一貫性があり、ブランドコンセプトを高める外観に仕上げることができれば、ビジネスの成功へ大きな一歩になります。専門家にも相談しながら、自慢できる外観を目指して下さい。